【名称】:カエデ類
【別名】:モミジ類

イロハモミジ/イロハカエデ/タカオカエデ/ベニシダレ/タムケヤマ
オオモミジ/ノムラモミジ/ヤマモミジ/チシオ
【カエデ科】落葉広葉・高木
【分布】東北以南・日陰・湿潤地
中庸樹~陰樹。陽光地に耐える。生長は速く、萌芽力があり、刈り込みに耐える。潮風には弱い。
カエデ類では紅葉の美しいイロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジ等を俗にモミジと呼び、ほかをカエデと
呼んでいるが、全てカエデ科、カエデ属なので、実際に分けることは難しく、庭木としての扱いには問題
ないと思うので、ひとまとめで扱いたいと思います。
いろはもみじ
四月末。
イロハモミジ
新緑、明るい緑の
モミジも捨てがたい美しさ。
葉の形が
『い・ろ・は・・・・・』
と七裂になって
いろはもみじが名前の由来。
六月初旬。
高さ1.5m巾1m。
こんな形、大きさに刈り込んでも面
白い。すでに紅葉が始まってます。
名前の由来

深津正・小林義雄著 「木の名の由来」東書選書131より抜粋

モミジとカエデ

 カエデのことをモミジというが、もともとモミジとカエデは別の意味を持った言葉である。モミジは、黄葉や紅葉の漢字を当てるように、本来は秋に草木が黄色や赤色に変わることを意味する動詞の”もみず”が名詞化したもので、それから転じて、特に目立って色を変えるカエデの仲間をモミジというようになった。

 モミジを詠んだもっとも古い歌といわれるものが『万葉集』の巻一に載っている。この歌は、天智天皇が藤原鎌足に、春山の花の美しさを秋山の紅葉のそれと比べて、どちらが勝ると思うかとお尋ねになった時、額田王がこれにお答えして詠んだ長歌である。その中に「秋山の 木の葉を見ては 黄葉をば 取りてそしのふ」という文句があり、このように、本来は、特定の植物に限らず、山の木の葉が、秋になって黄色く色づくさまを広く”もみじ”といったものである。

 では、草木の葉の黄(紅)変することをなぜ”もみず”といったかというと、ベニバナ(紅花)をもんで赤い色を出すのを”揉出(もみづ)”といい、これからきたものだという。赤く染めた絹を紅絹(もみ)というのも、いわれは同じである。ただし『万葉集』に”もみぢ”または”もみづ”と詠まれた歌の大部分に黄葉または黄変の漢字が当てられており、紅葉とか赤葉の字を用いた歌は例外的にしか見られないところから考えて、古代語のもみぢは、語感としては、深紅ではなく、むしろ黄色に近いものだったようである。

 一方またモミジの語源を「モミ(蝦蟇、すなわちアカガエルの古名)の手の転」とする説、(松岡静雄著『日本古語辞典』)がある。つまり分裂した葉がモミ(蝦蟇)の手に似ているので、これを”もみで”といい、さらに転じて”もみぢ”となったというわけである。これから述べるカエデの語源と同じ発想だが、『万葉集』の”もみぢ”やもみづ”の用法で見る限り、この説にはむりがあり、信じがたい。

 さて次にカエデの語源である。『和名抄』に「雞頭樹、加比留提乃木(かひるでのき)」とあり、『万葉集』に、「わが屋戸(やど)に黄変(もみ)つ鶏冠木(かへるで)見るごとに 妹を懸けつつ恋ひぬ日は無し」とあるように、古くは かへるでといった。かへるでは、葉の形が蛙の手に似ているからの名で、カエデ科の樹木のうち、葉が掌状に切れ込んだものをすべてこのように呼んだらしい。

 園芸上はカエデとモミジを区別することがあるが、植物分類上は同じ意味に用いる。

ただしその和名に、イロハモミジ、ヤマモミジ、などモミジの名のつく種類には葉のするどく深裂したものが多く、イタヤカエデ、ウリカエデ、ヒトツバカエデのようにカエデの名のつく種類には、分裂の浅いものや、楕円形のものが多い。

俗にカエデに楓の字を当てるが、これはマンサク科のフウに当たるもので、正しい漢名は槭である。